自信がない声に隠されたもの -Aさんの場合-

自分の声が嫌いなんです。

そう言って、
彼女は来られました。

高めの背を、猫背が低くみせています。

 

どこからどう見ても、
はっきりとした芯のある声が出る体格。

 

でも、
その表情と、まとっている雰囲気はどこか弱々しく、申し訳なさそうに見えました。

 

『自分の声が好きじゃないんです。』

 

開口一番、彼女はそう言いました。

『自分のことが、好きじゃないんです。 』

 

わたしには、そう、聴こえました。

 

聴かずと分かる声。

声は聴かなくても、
顔と体格と雰囲気を見れば、だいたい、どんな声をしているのか分かります。

 

人間は楽器そのものであり、
奏者であり、演者。

 

どんな楽器を持っているのか、は
体格、骨格を見ればわかり、

 

どんなふうに奏でるのか、は、

身体の状態と、心の状態、

さらには、
性質・性格と生きざまに関係します。

 

声を出す、という行為は、
自分自身を分かち合う行為なのです。

 

たとえば、

芯がしっかりとしていて、
自分の意志を強く持っているひとは、
ふわふわと浮いたような声は出しません。

 

また、線が細く、
小顔で透明感のあるひとは、
太く重たい声で歌ったりはしない。

 

声は、常に、そのひとを表しているのです。

 

本来の声と、今、出している声の差分

本来の声、というのがあります。

 

本来の自分で生きたときに出している声です。

 

自然体で、心地よく、
自分を生きているときに出している声。

 

 

多くの人が、
本来の声とは違う声を出しています。

本来の自分も、
本来の自分の声も、知らないからです。

それはつまり、本来の自分の生き方が、できていない、ということになります。

 

先の彼女は、
本来の声とは程遠い、
ふわふわと不安定で弱々しい、それでいて、かすれた声を出していました。

 

自信なさげで、
はっきりものが言えない。

そんな自分の声が、コンプレックスとのこと。

 

自信がない。

 

その奥には、

こんな自分が嫌だ変わりたい、という想いと、
もっと堂々と自分を生きたい、という望みが、隠れていて。

 

コンプレックスを解く鍵は、
本来の声と、出している声の、差分に表れています。

 

 

どんなことをダメだと思っているのか。
自分をどんな人だと思っているのか。
どう在らねばならないと思っているのか。

 

そこには、いくつものパターンが隠れていて、

生きづらさの原因や、
本当はやりたいこと、それをダメだと思っている理由、
自信のなさやコミュニケーションの苦手なわけなど、いろんなことが見えてくるのです。

 

隠されたセルフイメージ

私が言う言葉を、繰り返してみて下さい。

そう言って、
私は、彼女にこう言ってもらいました。

 

偉そうと思われてもいい。
怖いと思われてもいい。
ずうずうしいと思われてもいい。

 

口に出そうとした彼女は、
ぐっと喉を詰まらせ、

 

あああ・・・嫌です。。。

 

と、悲しそうに言いました。

 

 

ひょっとして、
これまでに、偉そう、だとか、決めつけないで、とか、言われたことがありませんか?

 

 

・・・あります。
偉そう、って、何度も何度も言われてました。

私、そんなつもりはないのに・・・

 

それも嫌で。
だから、気を付けてきたんです。

 

 

ですよねぇ。。。

 

今回のAさんは、
本来の声は、しっかりと頼もしい、どっしりとした声。
はきはきと、勢いよく話すことができる声。

 

パーソナルヴォイス診断でいう、
太陽・地が、強い方。

 

本来より高くてふわふわした声の裏にあったのは、
怖いと思われてはいけない、
えらそうと思われてはいけない、

という、気持ちだったのです。

 

 

自信がないひと、じゃないといけなかった。

自信がある自分、だと、
相手を傷つけたり、
偉そうに見えたりしてしまうから。

無意識に、そう思っていたのが、その声の理由でした。

 

セッションと本来の魅力

ボイスセッション後、
扉を出ていくとき、

Aさんは明るく低めの声で、挨拶をされました。
響きのいい、深い声でした。

 

その後1時間の間に何をしたのか。
その一部をご紹介しておきます。

 

セッション①マインドの変更

怖いと思われてもいい。
偉そうと思われてもいい。
態度がでかいと思われてもいい。

思われても、笑い飛ばしていい。

 

『思われても、笑い飛ばしていい。』

こう言ってもらったとき、
Aさんは、え、いいんですか?!という反応。

 

いいんですよ、
あはは~そうでしょ~身体も態度もデカいんです~
気に障ってたら、ごめんなさいっ!

って言って笑ったらいいんです!

 

そう言うと、
なーんだ!それでいいんだ!ダメだと思ってました!と嬉しそうな顔で言われました。笑

 

でしょう、そう言われて、そう思えるあなたは、
そうできるひとなんです!!!

できないひと、それが合わないひとは、
もしそう言われたとしても、『え、、、言えません・・・』ってなりますから。笑

 

第一、
面と向かって、偉そう、と言うひとはめったにいません。

その声は、自分の内側の声。

 

出る杭は打たれる。
失礼がないようにしないといけない。

そんな自分の内なる声が、自分へ、かけている声にすぎません。

だから、気にしなくていいんです。

 

セッション②マインドの変更

自分のことを偉そうなひと、
周りを傷つけるひと、と思っていると、
そう、振舞ってしまいます。

 

この論理はまた別で説明しますが、
これが人間のおもしろいところ。

人間の脳は見ている方向に進むようにできていますから。

 

だから、
私、偉そう、って思ってたら、
どうしてか、無意識に、『偉そうなくさみ』を含む声や話し方になるわけです。

 

なので、
ここの意識も変えてもらいました。

 

セッション③声の出し方

自分のセルフイメージや、
これがだめ、こうしちゃだめ、と無意識の禁止事項をたくさん持っていると、

声の出し方に影響します。

 

声とは、
心、身体、本質、生きざま、あらゆるものが表れているからです。

 

なので、
すっきりと、
気持ちよい声の響きを体感してもらいます。

 

力を抜き、
身体を緩め、
こころも楽にして出した声は、

ああ、こんなふうに声が出るのか、
ああ、こんなふうに声を出していいんだ、

 

と、ふわりと、空気が柔らかくなったのでした。

 

本来の声とは違う声を出していると、
自分の中では無意識に気持ち悪さと違和感を感じています。

それが、
自分の声に対するコンプレックスになる。

 

本来の声を出していくと、
自分と一体化でき、
自然と気持ちよく感じていける。

 

本来の声は、
本来の魅力を引き出してくれます。

また、彼女と逢えるのが楽しみなのでした。

 

 

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